カスバ街道のクサールはマラケシュやフェズに比べるとモロッコ建築としては
全く別ジャンルになる。土の文化とちょっとした石の文化の違いだろうか!
かつてのアトラス山脈の壁は大きかったんだろうな!!オスマンの勢力をもっても
モロッコのアトラスは高い山だったのだろう?!山だけの問題かは別だけど。
フェズやマラケシュは中庭を中心に内側に華やかに装飾してある。
それに比べ、クサールは外から見て建物の外観が存在感を示している。
建物を作る段階の素材そのものも違う。
クサールやカスバの建物の隅に塔状の部分がある。この表面に装飾が施してある。
遠くがよく見える彼らにとっては、この装飾は遠くにいてもよく見える。
デザインは部族を表しているとも、仲間を表す印とも言われている。
地域によってデザインも違う。縦長の太いスリットは銃眼になっていて、
弓や銃を使えるようになっている。要塞の意味合いが大きい。
この地域のカスバやクサールの外観や建物形状はイエメン方面から移住した
アラブ人が持ち込んだスタイルと聞いて納得!イエメンの地方では都市部と違い
日干し煉瓦作りの建物が多い。
クサールは穀物庫を目的として作り、人と家畜が一緒に避難して、穀物も守っていた。
そのためこの内部空間の作りは複雑化している場合が多い。3階~4階建てが多い。
建物によっては2階から3階に上がるのに梯子を使うところもあった。
内部の使用方法は場所によってさまざまだ。1階に家畜がいた家もあれば、
一番上の塔に家畜がいるところもあった。人は3階にいることが多い。
とにかく夏は暑いこの地域。夏の暑さを防ぐにはこの作りしがいい。
下の壁を厚くして上に人が住む。壁厚は1m前後。日干し煉瓦と土を使うため
どうしてもこの厚さにしないと4階以上は難しい。この地域の直射日光は暑いが、
湿度は低い。だから木陰に行くと涼しささえ感じることがある。
クサールの3階部分はやや快適な空間でもある。1階か2階で炊事などの火を
使うことが多い。
室内装飾は壁に装飾してある建物はほとんどない。権力者の建物で天井近くの壁に
装飾を施しているところはあった。権力者は財力もあり、使用材料が違うため
装飾も見事なところもあった。また、壁にタイルが張ってある建物がたまにあるが
このタイルは比較的新しいことが多い。クサールにはモロッコ独特のモザイクタイルは
ほとんどない。
天井は葦を敷くために装飾していることがよくある。
上階の床を作る時に葦を下の写真のように配置していく。下に写真の丸い木(梁)の
太さは10cm前後が多い。これが普通に使われる材料の大きさ。
下の写真は建物の角の搭状の部分。これは内部から見た風景。
この装飾は独特でほかでは見たことはなかった。