モロッコの場合、建物の天井に装飾を施すのは宗教施設などが多く、一般住宅では
天井は白くまったいらなことが多い。宗教施設や高級ホテルでは天井部分に
ムカルナスや漆喰の彫り込みを施すことはよくある。
下の写真のように大きな面積で天井を漆喰を彫り込むのを見ることができる。
大きな面積での漆喰はカサブランカ王宮にもあるが一般人は見ることはできない。
左の写真は天井の全体像
上の写真は全体像から少し拡大した。全体的を幾つかに分割するが、これも規則が
あり、中心の照明を下げるところから8割の放射状で作られている。割りつけた間に
この鎖状の幾何学模様を漆喰で施している。また、垂直に上る柱にはアラビア語の
コーランが刻み込まれている。その下にはムカルナスもある。モロッコの
漆喰装飾をこれでもかというくらいに職人技術で披露している。欧州でロココ様式にも
漆喰のすばらしさがあるが、幾何学的なモロッコの模様は全く相いれない違った文化が
ここにある。ここにもこんな様式があることを主張しているようだ。
これを作るには図案の下書きに労力を費やし、それを彫り込む時間も莫大なもの。
実に素晴らしい。ハッサンⅡ世モスクをこのようにじっくり見てもらうと
モロッコ人職人もさぞかし喜ぶことでしょう!
下の写真はほかの部屋の天井漆喰装飾。幾何学模様の面白さが各所にある。
下の写真は伝統的で典型的な36割の幾何学模様。最大48割の模様があるが、これは
タイルや漆喰ではできない。天井にこれを刻み込むのはなかなか見ない。
ハッサンⅡ世モスクを見る時は、ガイドに合わせてみて行くのでどのようにじっくり
見るかは問題があるかもしれないが、しっかりみるといい!
マラケシュやフェズで見るものとは違ったものがある。モロッコの文化が発展していく
過程がよく分かる。モロッコに何を見に行くか?モロッコは砂漠だけではない。
日本の江戸時代末期にあらゆる文化が花開いたようにハッサンⅡ世はカサブランカに
いい文化を残していったような気がする。モロッコにとっていいことだ!