ラバトは政治的外交的な都市、カサブランカは経済都市。この環境の違いもあり、
ラバトのコロニアル様式はカサブランカとは一味も二味も違うのは当然だ。
例えば、下の写真はモロッコ銀行(BANK AL MAGHIB)で、日本では日本銀行に
相当する中央銀行。ラバトのメイン通りにある立派な建物。立地は駅前大通りに
面している。駅からメディナに向かって歩くと右側にある。建物の入口を砂岩で
デザインし、その周りの外壁を漆喰でしあげてある。建物全体は連続性のある空間だ。
一階の回廊部分はだれもが通行できる開放的な空間になっている。正面ファサードの
上部には流線型のアラベスク模様が細かく彫り込んである。庇部分は木製で大きく
跳ねだしている。なかなか威厳のある作りだ。
下の写真はラバトの電電公社。今の日本ではNTTと日本郵政の合弁に相当する。
モロッコ銀行の反対側になるこの建物は風貌がモロッコ銀行と同じだ。中央部分は
砂岩で白いところは漆喰になっている。一階の回廊は銀行と違いアーチになっており、
建物の柔らかさを感じる。庇の屋根はモロッコ瓦を使用し、モロッコらしさを感じる。
建物全体が統一感がある。一階のアーチの回廊、二階が四角い窓に砂岩の枠、三階が
細かいアーチを連続させている。これほどまでの建物はカサブランカでもなかった。
今でも内部は入れるので空間を見に行くのもいいかも。かつて、携帯電話が出回る
前はここはかなりの人でごった返していた。
この上の写真の二つの様式はモロッコの様式合わせてフランス人がうまいこと調合した
建物であり、モニュメントとしての砂岩、漆喰をもちいたファサードの作り方、
この時代のフランス人建築家のすばらしさがある。正当化するわけではないが、
この手法は日本の植民地政策でも一部分あった。
モロッコの夏の暑い日にこれらの建物の回廊部分を歩くのは涼しい。何とも時代を
感じてモロッコの面白さを体感できる空間となっている。
下に4枚のコロニアル様式の建物を取り上げてみた。カサブランカから比べると
コロニアル様式が広がっている面積はラバトは半分以下だ。しかし、カサブランカの
ファサードに比べると何となくゆったりした感じの違いがある。
一階回廊の作り方だろうか! 窓の解放感だろうか! 庇の違いだろうか!
バルコニーの違いだろうか! カサブランカとは違う!
右下に写真のように回廊歩道の天井にモロッコ様式の漆喰を施してある。個人の店の
前ではあるが、天井とはいえ公共空間だ。
カサブランカでは見なくなったがここラバトにはまだ残っている。
ラバトのコロニアル様式も見どころの一つである。