このブログでよくモロッコの漆喰装飾を紹介している。
下の写真はマラケシュのベン・ユセフ・マドラサ(Medersa Ben Youssef)の中にある
ミハラーブの空間。その中でもこの写真のムカルナス(鍾乳石飾り)は他に類を
見ない装飾で、本場の中東のイスラム建築とは異なる立派なものがある。
この天井を小宇宙的空間と表現する学者のいるくらい素晴らしいモノがある。
じっくり見ていると、よくここまで作り上げるなと思うような作り込み。たぶん、
マラケシュを旅行する日本人はほとんどが行く場所。普通の日本人はさらっと
見ていくけど、ここを是非じっくり見てもらいたい。
日本人の漆喰職人でここまで漆喰彫刻ができる人は少ないと思う! 型や図柄が
あるから慣れた人ならできると思うけど、けっこうな時間と根気が必要だ。
天井のムカルナスはなかなかの技術も要するし、描く図柄のイメージも必要だ!
何か月も掛けて彫り込んで形を作って行く。どこからモロッコ独特の形ができたのか?
ムスリムならではの表現があるのだろうか?! あるイスラム学者は死んだ後の
世界観をムカルナスで表現しているとか?! このムカルナスは宗教施設に多い。
宗教施設内でも重要な位置にあることが多い。一般の金持ちの住宅には飾り程度の
ムカルナスはあっても、ドーム状の本格的なものはない。
この漆喰を細かく見ていくと面白い!下の写真のように彫り込みだけでなく、
突起物もある。一番下の写真のような松ぼっくりをモチーフにした漆喰が素晴らしい!
漆喰でこのような突起物の創作は各種ある。モロッコでは松の実のほかに
アーモンドの実、花、貝、穀物などがある。なかでも多いのが貝や松の実だ。
下の漆喰はコーランの装飾書体が中心に描かれている。その両脇に松ぼっくりの
突起物がある。コーランの装飾書体の隙間には草食の彫り込みがある。
このマドラサは中庭などの各種建築装飾は立派なものがある。この他にもいろんな
ものを細かく見ていくともっとすばらしい発見がある! 是非見つけてみては!!
この突起物のある装飾は砂岩系の石で作ることもある。石の場合は城門などの壁面に
あり、モチーフとしては貝が多い。ラバトのウダイア門の貝は立派だ!
この突起のある建築装飾はモロッコの世界遺産を見ていくとマラケシュやフェズなどに
多くある。
どのような工法で取り付けたんだろう?
なぜこれをモチーフにしたのだろう?
などなど疑問が湧いてくることでしょう???
調べてみては?