今回この漆喰の奥深さを紹介しよう。ムーレイ・イスマイル廟内の漆喰だ。
よき時代の伝統的な漆喰装飾。この廟のように宗教上、重要な建物は腰壁から上の
漆喰のモロッコ様式の彫刻でアラベスクを表現している。廟、マラブー、
ザウイアなどはかつての偉人を祭ってあるので様式としてこれがモロッコでは最も
格式の高い仕様になっている。屋根はクッバになっている。
下の写真では壁の一番高いところに漆喰窓がある。その三か所から自然光がもれて、
光を採りこんでいるのが分かる。この三か所だけが透かし彫りにしている。
漆喰を透かし彫りにするのはなかなかの技術が必要だ。日本では蔵などに家紋のような
モチーフを作り上げるのある。比較にならないかな?!?!
漆喰模様にはモロッコ独特の幾何学模様、ひもを編むような網目模様、網目模様の中に
松ぼっくりやアーモンドの実や穀物の実、シュロやシダもあり最低でも10種類の
モチーフが彫り込みの素材になっている。
またアーチの両脇の上にはVisigothc時代の貝をモチーフにした貝殻模様がある。
モロッコでのVisigothc時代とイスラムの因果関係は何があるのだろうか??知りたい。
この漆喰の表現の意味として、これらの時代が絡み合っているだろうが分からない。
この内容はたぶん西洋美術史(?)を専攻している人だったら知っているのかな?
そこまで調べ上げてないなからな~!深い意味があるのだろうな~~~?!
知りたいな~~~! ある日、学のあるモロッコ人と話していたときに、
「アンダルシアから来たんだよ」とは言っていたが、それはそうだよ!
それはVisigothcそのものがアンダルシアが含まれているからだろう!
それ以上の興味深い話はなかった。
下の写真はムーレイ・イスマイルの墓のある部屋の隣の部屋の壁の漆喰。
漆喰が白一色でなく、色どりされている。やはり格式のある仕様で出来ている。
今では文化財や伝統的な建物フェズやマラケシュの主要建物にあるが、先代の国王で
ハッサン二世はこの技術を残そうとしたのか分からないけど、各王宮で同様のカラー
漆喰を作っている。伝統文化の技術を残そうとしたらこの必要なことだ。
上の写真の半分を拡大したのが下の写真。いろんなモチーフの組み合わせがつながって
出来ているところが素晴らしい。幾何学模様、ひもの網目模様、コーラン文字模様、
各植物をモチーフにした模様、これらはすべて古典的な伝統模様だ。斬新な新しい
デザインはここにはない。
ちなみに、4月15日にパリのノートルダム大聖堂が出火した。この建物も同様に
屋根部分は木造であるため、引火したら確実に燃えてしまう。引火するかどうかだけど
最近は照明のための電気配線が天井から引き込まれている。電気火災を引き起こしたら
燃えてしまうだろうなーー!