メクネスのマドラサも見どころとして挙げたけど、やはりここが一番の見どころかも!
この廟内部はもちろんのことだけど、中でも普通の人が素通りするところを紹介する。
下の写真は奥の廟に入る前の中庭空間。モロッコでは珍しい中庭だ。
何が珍しいか!上の写真は二つの中庭空間を通って廟に入っていく途中の中庭の風景。
この中庭空間はある意味で何もない。最初は7段の階段を登っていくと中庭がある。
一つ目の中庭は部屋が面しているわけでもない。きらびやかな壁面装飾があるわけでも
ない。装飾としては腰壁にゼッリージュの伝統的なモロッコタイルが張ってあるだけの
空間。またそこを通過すると5段の階段がある。そこにはお祈りの方向を示す
ミハラーブと呼ばれる凹んだ空間がある。ここの作りはイーワーンとまでは言わないが
これに近い作りとなっている。イーワーンとは大きなアーチで囲われた空間。
このモロッコで何もないに近い空間を通過させる手法はどこから来ているのか?
これを通過しないと本丸の廟までたどり着けない。モロッコには他のまちでは見ない。
このムーレイ・イスマイル廟にだけにある空間。実に不思議だ。単に聖なる空間を
意識してのことだったのだろうか?! もっと奥の深い意味があるのだろうか?!
このようなことをモロッコ人に質問しても「何言ってんの???」の返答だ!
日本では大きな社寺やかつての御屋敷などの仰々しい場所では奥に進むのに
何もない空間を通過するのはよくあった。このモロッコでは日本的な考え方は
まずないと思われる。共通事項が考えられない。
下の写真は帰る時の階段風景。上の写真を逆から見たところ。
日本的なモノの言い方をすると
「庭の路地を歩いている途中でふと、後ろを振り向いてその風景を楽しむ」
ここの空間にはそのようなおもしろい演出があるように思える。
砂漠や絶景やメディナの喧騒もモロッコらしくていいけど、モロッコの何てことない
こんな風景もいいものだ。
それと天気のいい日は光と影の陰影がはっきりしている。写真を撮るのも難しい。