ムーレイ・イスマイル廟の中庭にある柱を紹介する。
この廟に使われている柱は中庭の回廊に3本をひとまとめにして4隅で計12本ある。
回廊の屋根を支える柱になっている。中庭は大理石の水盤を置き、水が出ている。
柱はたぶんモロッコ産の大理石で出来ている。柱は柱頭に装飾が施してある。
柱頭の装飾は下の拡大写真をみるとモロッコ独特の図柄がよく分かる。
下の写真中央に見える窪んだところがミハラーブといい、聖地メッカの方向を表し、
特徴的なタイル装飾と漆喰で表現されている。
一般的には中庭に面してミハラーブは作らないが、この廟の特徴と言えよう。
上の写真が柱の全体の姿(左)と柱頭(右)
柱の全体像は古典的なコリント式をモチーフにしてモロッコ式に作り上げた様式。
モロッコの柱の太さはギリシャのような柱径(柱の太さ)を変えることによって
視覚効果を狙った形跡はない。柱脚から柱頭にかけて細くなっているだけ。
それとモロッコの場合は柱そのものに縦に溝を掘ったりすることはほとんどない。
上左写真のように柱頭部のデザインは様々ある。
コリント式はもともと柱頭にアカンサスの葉をモチーフにしたものがあった。
しかしギリシャのアカンサスとモロッコのアカンサスではどう見ても違いがある。
葉っぱのようなものが開いた格好はモロッコ独特の表現ではないだろうか!
日本ではハアザミに相当する植物なのだろうが、なんか違うイメージのような・・・
このアカンサスの葉っぱの表現に3段、2段、1段の表現がある。この廟では2段に
なっている(右上写真)。かなり古い時代に3段があったようだが、この3段は
見たことない。右上の写真はこの廟が建てられた時代に多かった。今では1段が
多く、モハメッド五世廟やハッサン二世モスクではほとんどが1段になっている。
しかし、一概に時代背景だけではなく、変化している。
上の写真で分かるようにアカンサスの葉っぱの上の冠部分のデザインは4面とも
違うことがある。この廟は2面以上が違っている。シェルと言うか貝や
ソロモンシールなどをモチーフにして表している。
モロッコの大理石製柱は装飾にもちいられることが多い。昔からある建物の大理石の
柱は地震があったりすると多少心配がある。フェズから以北は数十年に一度は地震が
あるので、観光している時に地震があったりすると多少は気にした方がいいかも!
ハッサン二世モスクなどの大きな建築物にある大理石は表面上の大理石であり、
中心部分は鉄筋コンクリートでできている。構造的欠陥がない限り、問題ないはず。