マラケシュのサアード朝の大廟墓群。モロッコの素晴らしい装飾が見どころだ。
この廟墓群は3つの建物と言うかホールのような囲いで出来ている。その中でメインの
廟であるモハメッド・エルマンスールの墓がある。中でも立派にできている。
棺はイタリア・カラーラ産の大理石を配置し、その周りに同じ大理石で円柱を12本、
更に床にはゼッリージュを施し、華やかに装飾されていることがよく分かる。
すぐ下に写真でその様子がよく分かる。円柱は6本見えるが、手前にも6本ある。
この手の大理石はモロッコにはない。モロッコで採れる白い大理石は鮮やかな
白でなく、模様の入った白だ。このカラーラ大理石を使うこと自体は有力者でない
限り、なかなか使えるものではない。だからいかに偉大なスルタンだったかがわかる。
下の写真はこの部屋の天井でアトラスシダー(杉系)を使って組み込んだ折り上げ
天井になっている。その天井は金色に輝く装飾だったらしい!いま見るとどう見ても
金色ではないような気がするけど・・・・。この部分は遠目でしか見ることが
できないので、天井が暗いためはっきりし色は肉眼では分からない。近くで見ると
金粉を確認できるかも?? それでも、この木組で天井を飾っていること自体は
やはり有力者や偉大な人物であることがよく分かる。
下の写真は円柱の上にある装飾の数々。まずは柱頭に注目する。円柱からすぐ上の
アカンサスの葉っぱの部分が2段になっている。アカンサスの葉っぱの一枚一枚が
綺麗な形に出来ている。この柱頭の作り方は近年ではなく、明らかに中世の表現。
また、その上に四角い台座を設け、アーチを作っている。そのアーチの下には
モロッコの特徴である細かいムカルナスがこれでもかと思うくらいに施してある。
中が暗いのでどこまでが大理石かよくは確認できなかった。漆喰の部分も有色に
なっている部分もあるが、何の色かは識別が難しい。しかし、ここまでの作り込んで
ある墓はメクネスのムーレイ・イスマイル廟と同じような地位であったことが
よく分かる。
この廟はフランス人が20世紀初頭にたまたま上空から発見した場所となっている。
歴代のサルタンがこの廟群を壊すことなく、壁を作ることで他のひとの目に
触れることのないようにしたようだ。しかし発見したとは言うものの、マラケシュでは
知られた存在で、フランス人には公開したくなかったのではないのだろうか?!
ひと目に触れない隠れた存在か?そのためか?現在でもここに入る入口はとても狭い。
この奥に何があるのだろうとアプローチは不安とワクワク感がある。
比較していいかどうかわからないけど、京都の銀閣寺に入る時に門をくぐって、
この奥に何があるのだろうと思わせる。
モロッコも京都も中にあるモノはどちらもそれなりに立派なものがある。
ぜひ楽しんで見て下さい!