カサブランカのハッサンⅡ世モスクの新しいデザインを紹介したように今回ラバトの
モハメッドV世廟の壁タイルを見てみたい。ハッサンⅡ世モスクができる20年前の
建物。古そうだけど、斬新さもある。伝統的でもありながら新しい部分もある。
例えば下のタイルパターンは放射状に広がる青い鎖のタイプ。それを囲うように茶色の
曲線を用いた鎖タイルが絡み合うようにできている。伝統的な手法だと曲線タイルを
絡ませることはなかった。薄い茶色はあったけど、この濃い茶色をアクセントのように
使うのもなかった。しかし幾何学的手法は伝統的な線の上でできている。
下の写真はモハメッドV世廟の特徴的なタイル装飾。これはフェズの王宮の正面玄関に
も同じようなパターンがある。見ることはできないがカサブランカの王宮にもある。
ほぼすべてが曲線状のタイルで構成しているのは珍しい。門の上部の角にこのような
スタイルはあるが、局部的な貼り方で、壁面で構成しているのは他ではなかなか
見ない。この廟が1970年代に完成した。その後、地方にある王宮にこれらを
発展させたパターンの貼りかたは各種ある。一般的に見ることが可能なのはここかも!
下の写真は廟の室内の壁に大きく張られているモロッコの伝統的タイル装飾。写真は
その中心になる部分。このタイルが高さ3m位で四方に連続して張られている壁が
圧巻だ。鎖状になっている中心部分の曲線を用いたタイルの黄色と青と白の組み
合わせはソロモンシールという植物をモチーフにしたもの。このモチーフを
囲むようにして鎖状のタイルを組み合わせて大きな壁を作り上げている。鎖状の
タイルの組み合わせは細長いタイルを編み込んだように白とピンクと青の取り合いで
大きく太い鎖にしている。このパターンは伝統的な幾何学の法則になっている。
既存の伝統的な建物にはない。最近の王宮や高級ホテルにはある。
下の写真は水盤の壁面タイル。これは廟の脇にある伝統的なモロッコタイル。
左下写真が全景、右下写真が中心を拡大した写真。じっくり見ると細かい。
ハッサンⅡ世モスクではほとんどなかった48割の円形パターンの貼りかた。
これくらい大きいとこの円形を48割にすると細かいタイル装飾がはえる。
モロッコの典型的で伝統的なタイル装飾。モロッコの古都でもよくみる。
この新しいタイプの貼りかたはアンドレパッカードが主導して新作を考案していた。