メクネスはマラケシュやフェズからから比べると日本人は訪問しないまち。それでも、
もし訪問することがあったらメクネスのマドラサは見る価値があるかも!
左写真はマドラサの中庭の全景
下の写真は正面部分を拡大した。全景の黒い部分の詳細が分かる。
ブー・イナニア・マドラサ、この名前の付いたマドラサはフェズにもある。同じ時代。
このマドラサの特徴は木材をふんだんに使い、その木の装飾が多岐にわたり、
表現しているところが素晴らしい。フェズの場合は漆喰を多用している。このアーチ状
の脇の上部分は板状のモノを彫り込んで作っている。彫の深さに変化を持たせ、表に
出る部分と奥にある部分を考慮して表現方法を変えている。見た感じが浮いたように
見えるのもこの彫り込みの特徴だ。またタイル装飾にない図柄で天井などのペイントで
表現する手法をここの場合は木彫りで表している。この手法はメクネスで製作される
ことが多い。フェズにもあるがスケール感はメクネスが大きい。
それと装飾の細かさは単に職人の違いなのか、メクネスの方が細かく見える。
アーチの上で庇の下にあるの帯状のところに、アラビア語が装飾して彫込まれている。
このようなスタイルはどこのマドラサも同じようなスタイルになっている。
またフェズやメクネスが学問に熱心だっただけにこのようなアラビア語の装飾が各所に
表現してある。マラケシュは王宮的文化のためか、この部分の装飾はほとんどない。
下の写真で分かるように漆喰部分と木彫り部分のメリハリがしっかりしている。
漆喰の装飾細工は細かいリズム感のあるように出来ている。またアーチの両脇と上の
アラビア語の部分は木彫りの部分の字体とは別にしている。
上の左写真の まぐさ部分に太い木を置いて、その表面に装飾を施している。
上の右写真は中庭の庇を支える木組みの部分。はね出した木の部分の装飾が
いい感じだ。これはフェズでも同じような手法で作られている。
メクネスには木材が集まってくる。メディナの脇にアトラスシダーの大木や製材した
大きな板がいっぱい積み上げてある。買い付けに来る仲買人もいるようだ。
それが由縁で木彫りをふんだんに使っているのだろう!