フェズのメディナを散策していてよく目に付くのが水汲み場である泉水がある。
人が生活するのに欠かせないのが水。この水をメディナの主要か所に張り巡らせたのが
このフェズの水のシステム。以前にもこのブログ内でフェズの水の流れを説明した。
この水は王宮の近くにあるブー・ジュールド庭園を経由して流れてくる。ある意味で
この庭園は貯水的機能もあった。この庭園からメディナの中心通りに沿って水が各所に
流れている。通りの途中には下写真のように泉水が各所にある。この他、水は
モスクや公衆便所にも供給している。いま観光地化しているタネリン(革染色所)にも
大量の水が流れる。近くでは滝のような水の流れを聞くこともある。この他に地位の
高い方や有力者などには各家庭に水が引いてあることが多い。
下写真の泉水はかなり装飾に凝った場所だ。手の込んだ泉水の場合は近くに宗教施設が
あるか、近くに有力者の家があると、このような仕様の水汲み場になる。
下の泉水はゼッリージュ(モロッコタイル)の上に漆喰装飾が細かく施してある。
草木や木の実など自然の装飾をモチーフにしている。コーランのレタリングはない。
この泉水は上部が漆喰だが、他には木製の庇状にしてある泉水もある。
この泉水のゼッリージュは中心部分の円を24割にして、放射線上に8つの核を設け、
それが広がっていくスタイル。伝統的でモロッコにはよくあるパターンの図柄を
採用している。このゼッリージュはタイルのピースも古典的なモノの組み合わせで
出来ている。このゼッリージュの腰壁部分は垂直と水平のラインに斜めの
クロスラインを基本にした図柄だ。水の出る部分は垂直と水平を強調する図柄に
なっている。
下左写真が上部壁面部分、下右写真が水の出る部分をそれぞれ拡大したもの。
拡大することによって、デザインが違って見えるが同じだ。
下写真の泉水はよくあるごく普通のパターン。最近では水の出ないところもある。
正面の壁にゼッリージュがあり、アーチの上は黒い四角いタイルを唐草模様に削り
落として、つなぎ合わせたもの。ちょっとした庇のフェズブルーの瓦が付けてある。
下写真はゼッリージュの拡大。真ん中の上が中心となっている。そこが16割を中心に
放射状に8割の核を描くように広がっている。これも伝統的な図柄のパターンだ。
上下の写真は同じところなのに、遠目にゼッリージュを見るのと、かなり近寄って
見るのでは絵が違って見えてくる。
下写真のように例外的にこんなに大きな泉水もある。
これらのゼッリージュは簡単に見れるので観察したらいろんな発見がある!