ムーレイ・イドリス廟の建物の外側に面した部分の装飾も素晴らしい。
何が素晴らしいか? この廟はメディナのなかでも建物が外部に向かって建築装飾を
表して、存在価値をアピールしている。こんな建物はほとんどない。
内部とはモロッコのメディナの建物はほぼすべてに中庭がある。建物は中庭を
オアシスのような空間にして、中庭に対して宗教施設も住宅も他の建物も全体構成が
成り立っている。日本の場合は中庭はなく、建物の外壁は4面が屋外に向かっている。
これが日本と大きな違いだろうか!この中庭が何を意味するか?! 廟内に入れない
のが実に残念だけど、素通りするのももったいない。いろいろ想像してもらいたい!
このムーレイ・イドリス廟はそこそこ大きな建物で所々、通りに面している。
左上写真は正面入口。入口のアーチ、アーチ周辺のモロッコタイル、通路の木製天井、
天井周辺の装飾などなど、ほかの宗教施設にはないくらいの出来栄えで構成している。
ムーレイ・イドリスと言う人物がいかに崇拝された人物かがわかる。
上のほかの写真は建物の南側にある路地に面した外壁面。右側の2枚は下部と上部を
別々に撮った写真。この写真は装飾も素晴らしいが、特徴としておもしろいのが
どちらも窓がある。日本人にしては当然と言えば当然の話なのだが、ここは
イスラム社会。イスラム女性の立場は子ども以外は外へ出ることはなかなか
難しいことだった。外の雰囲気を知る方法としてのこの窓。窓からまちの喧騒が
よく見えることだと思う。ましてや夕方に混雑するこの周辺。にぎやかな喧騒風景を
内部の窓からのぞき見ることができる。これはたぶん、楽しみの一つだろう!!
メディナを散策しているとよく視線を感じることがある。建物の2階の窓から外を
見ている女性の目線がある。たまに目が合うと話しすることがある。この会話を
続けると面白いこともある。かつて、フェズでこの会話を続けていて、住宅内を
見させてもらったことがあった。なかなか見ることができない住宅内部はおもしろい。
外へ出る時は全身を服で隠した格好で歩いている。中庭では開放的なイスラム女性。
この開放的なモロッコ人女性はけっこうフレンドリーに話ししてくれる。日本人と
思うといろんなことを話しかけてくる。モロッコのテレビでは日本のハイテクなことと
伝統的なことを時々紹介している。ある時、日本の珍祭奇祭をテレビで紹介していた
らしいく、事細かく聞かれたことがあった。日本人でもなかなか見ることがない奇祭は
説明することができなかった。たしか、この放送はヨーロッパ系のテレビ局が編集して
モロッコでも放映されたようだった。そんなこともあった。
こんな状況も作るであろう窓の存在は実におもしろい。
メディナをじっくり見ながら注意深く歩いていると面白いハプニングが起こるかも?!