フェズのメディナに「これは何?」と思わせる建物がある。年期の入ったガイドだと
説明してくれるだろう。だけどこれを知る人もだんだん少なくなってくる。また、
いい伝えも少しずつ変わってくるだろからそのうちに誰もが忘れるかも・・・・
場所はブー・ジュールド門の近くにある神学校で、マドラサ・ブー・イナニア
(Medrsa Bou Inania) の出入口の前で、通りの反対側の壁。
今では確か、一階に不思議な中華料理屋もある。水餃子やマーボ豆腐が・・・
中華料理は別にして、下の写真で分かるように壁に変な突起物がいっぱいある。
これはかつて、「水時計」として活用されていたようだ。いまではこの建物が
使われた様子を知る人は誰もいない。一部の歴史文献によると14世紀に出来た建物。
水の流れを利用して、その水の量か勢いで音を鳴らしていたようだ。こんな高い所に
なぜ水があるのか? 水をくみ上げるのも大変なことだろうし、14世紀頃に、
どうしてこんな建物があったのだろうか? 不思議に思うことがいっぱい出てくると
思う。この下の写真だけを見ただけでは説明内容を想像するしかない。現状では
建物が修復されて表面上はきれいになっている。想像を膨らませて下さい!?
この下の写真は1910年頃の水時計の建物の風景。上の写真との明らかな違いは
壁面の一番下の突起物に丸い器のようなものが並んでいることだ。自分が最初に見た
時にはこの丸い器が数個残っていた。現状ではこの丸い器もない。
こんな水時計をよくこんな壁面に作ったものだと感心するしかない。
この高い位置に水があるのか?電気もポンプもない時代。実はフェズのメディナを
作る時に水を主要か所に流すことが最初に計画した。それらの水の流れは主要道路に
面して流していた。水時計のある壁面は主要通りで、メディナの中ではタラーケビーラ
(Talaa Kebira)と言う人通りの多い所。この水を流すおおもとはどこかと言うと、
ブー・ジュールド門を出て西側にあるブー・ジュールド庭園にため池があった。
そのため池の水面の水位はこの水時計の高さより少々高い位置にある。古典的な水理を
利用している。この水圧を利用して、水を下に落とし、丸い器に受けていた。壁面の
途中にある窓から古典的機械仕掛けで鳥が出てきて時を知らせていたようだ。
その古典的機械の仕組みは既になくなっているようだ。
どんな動きだったのか、どんな音だったのかは全く分かっていない。また、時を
知らすための数字として「7」の数が文献に出てくる。この数字も不明な点がある。
この水時計の計画にはフェズ出身で医者でもあり哲学者でもあるユダヤ人が
大きくかかわっていたようだ。
この水時計は断片的な情報だけで正確な内容はわかっていないのが確かだ。
この壁面を見て「いにしえ」を味わってみてはどうでしょう!?