このモスクは日本のガイドブックはやたらと規模の大きさだけを紹介している。
規模が大きいだけに、このミナレットを作るのに何人の職人が落ちて死んだか?!
海岸沿いを埋め立てる時に何人もの人が海に流されてしまったか?!
建設時は、一般モロッコ人はみんなそんな話をしていた。
北部を除いてハッサンⅡ世の人気は抜群だった。
ハッサンⅡのためなら命をかけても墓を作る仕事をしたいと願い出た人もたくさんいた。
このモスクの特徴の一部を紹介します。
人がこのモスクを見たとき、一番目につくタイルに注目してみると面白い。
モロッコの今までのタイルの仕様と比べると革新的な方法をいくつも使っている。
まず色のバリエーションが多くなっている。今までになかった暖色系のタイルが多い。
このモスクを作るために新しく作りだし色が各所に使われている。
例えばピンクに近い色はフェズにもマラケシュにもほとんど見ない。
タイルを焼くときに、何を混ぜてどの色を安定して出せられるかで難しい。
色のほかに、タイルの大きさが違う。
今までにない手のひらを超える大きさのものが多くある。
大きな面積のタイルを作るのは出来上がりで、表面が波を打つようになる。
この波打ったタイルがあるのを見ると苦労したんだろうなとよく分かる。
床のタイルはやや大きめのものはあったが、壁のタイルでは珍しい。
このモスクには新しい試みが各所に見られるのが特徴がある。
ラバトのモハメッドⅤ世廟のタイルも特徴的だ。唐草のアラベスクタイルがある。
中東のイスラムは唐草模様で代表されている。これがモロッコと中東の違いだ。
それと、タイルをいまだに1ピースごとにを組み立てているのはモロッコだけ。
モロッコはもともと、vedic square の考え方をもとに幾何学模様で構成されている。
モハメッドⅤにしてもハッサンⅡにしても今までの伝統にプラスして模様に挑戦している。
両方の墓は巨額の建設費ではあるが、文化を残し、また新しいモノを創り出す。
フェズでもマラケシュでもタイルを見る時にこのような視点でも見て下さい。
日本文化の発展は江戸時代後期にはあった話だが・・・・・