ワルザザートの街の中心から東へ1kmくらいのところにあるカスバ。
アイト・ベン・ハッドゥが世界遺産に登録されたころ、このカスバは一部分を
公開していた。白い門の入口を入って正面の建物だけだった。ここは今でも
公開されていて、3階相当部分の最上階からの眺めは、天気のいい日は最高の眺めだ。
夏の暑い日にここで休憩すると風がある時には結構涼しい! 気持ちいいくらい!
この周辺のカスバは一般的に百年に一度の大雨により、崩壊することがよくある。
崩壊するときはあっという間に姿形がなくなり、隅の塔屋だけがなんとなく残る。
このタウリールも中庭の突き当りの奥の建物は雨で壊れていた。(上写真の裏)
旅行中にこの周辺で百年に一度の大雨に出合ったら大変!カスバ街道の道は寸断され
思うように移動はできない。無理に動くと流されることもあるくらいの水量。
この建物は日干し煉瓦で出来ている。その場で取れる土に藁を入れて、形の中に
流し込み、日干しにしてレンガ状にしたものを積み上げていく。だから、雨が降ると
流れて当然である。今では工法が少し変わって壊れにくいようにも出来ている。
崩壊したカスバ、地面に置いてある日干し煉瓦を積み上げていく
このタウリールは中庭に面した右側の建物や奥の建物は順次公開している。
実はこの順次公開している部分は日本人建築士が実測し、公開が可能になったんです。
この平面図をもとに海外から援助をもらい、タウリールを修復して公開している。
海外から援助をもらうためにはどうしても必要な資料だったのでしょう!
今の段階でどこまで公開しているか把握してないが、資料を見ると、この内部は
複雑極まりないくらいの作りになっている。公開部分も考えないといけないくらい。
アイト・ベン・ハッドゥと同じように、階と階の間に隠れ部屋の階があったり、
階段が2階から直接3階と4階の間の階に行ったり、縦方向が3つくらいに
区画されている、通り抜けられない階段、この階段とこの階段を使うと端の部屋に
直接行けるなど、実に複雑にできている。この平面図立面図断面図を作図している。
作図された時期はアイト・ベン・ハッドゥを日本人測量士が測量したのと同じだ。
この平面図はモロッコ文化省の出先機関の長が作図したことになっている。
日本人の名前のところは見事消されている。さすがモロッコ人!やるなーー😢!
モロッコ人建築家の技量として、当時のレベルではこの平面図は起こせないし、
立面図も描けない。ましてや断面図など全く手を付けられなかったと思う!
陽の目は見ないけど、ある日本人の技術がここでも役に立ったことはいいことだ!
アイト・ベン・ハッドゥも同じ。日本人が観光でモロッコを訪れて、これらの建物を
見たときに、まさか日本人が手伝いをしたとは誰も思わないのでしょう!
面白いーーでしょ!