下の写真はサアード朝大廟群の木製扉にある小扉。扉の表面はモロッコスタイルの
彫刻が全体的に施されている。小扉の中央には幾何学模様の図柄があり、その周りには
ソロモンシールに似た植物をモチーフにした柄がある。この扉は劣化しているため
ところどころが欠けている。原型が残っていない場所もある。かつては劣化が
激しくなり修復が必要になった時には原形を思い起こすように復旧していたようだが、
今ではユネスコなどの協力もあり、原型が分からない場合は無理に装飾しないで
平らなままにしていることもある。また小扉の左側の縦の列にある4個の
小さな突起が蝶番になっている。枠に輪っかを作り、小扉にかぎ状の
突起を付けて枠側の輪っかに乗せるようにできている。実にシンプルな作りだ。
下の写真は扉の木枠側に縦にコーランを彫り込んでいる。かなり劣化も進んでいる。
かつてモロッコ文化省のアラビア文字専門のを研究者にこの書体の話を聞いた。
しかし、当時の語学力では理解したレベルには至ってないので・・・・??
アラビア語の分かる方! 他の字とぜひ見比べてみてください!
モカラビー(Moucharaby) 下の写真。
モカラビーはもともとの言葉の意味は「格子が取り付けられた窓」。
モロッコでは窓に取付ける格子状の柵のことを指すことが多い。ここの廟では
進入禁止の柵として使っている。目的としては通気性や遮光性を考えた格子。
モロッコのイスラム教徒の女性は外出する機会は少ない。少ないからこそ女性は
窓越しに通りを眺めていることが多い。メディナを歩いていると、時どき視線を
感じることがある。2階にある窓から下を眺めている女性を見ることがある。
この時、目線が合うと会話が成立して、中に入れてもらえることもある。こうして
何度か家の中に入れてもらったこともあった。家の中を見るのもおもしろい。
この格子窓をしっかり見ると軸組が特徴のある組み方をしている。これは職人が
手動式の工作機械で木工旋盤を利用し削りだしている。実に単純な作りではあるが、
立派な工作機械だ。台の上に四角い木材をセットして、右手に専用道具をもって
回転を加え、左手で刃物を持ち、右足指で刃物の先端を押さえて削っていく。実に
見事な手さばきだ。シンプルな作りだけに最初に見たときは感心した。
手動式の工作機械はメディナで木工の土産物がある所では見ることもある。
ぜひ見てみたら楽しめるかも?! まだマラケシュにはあるんじゃないかな・・・
メディナを散策して窓越しに話してはどうだろう?
モロッコ人の個人住宅を見る機会があるかも??