マラケシュやフェズの有名どころの観光をする人は多いはず。マドラサなどの
宗教施設に必ずと言うくらい行くと思う。そこには壁面におもしろい装飾書体が
至る所に施してあるのが分かる。是非じっくり見て下さい!
日本語も特殊な文字だけど、アラビア語も書体としてみていると実に不思議な文字。
建築の装飾として漆喰に彫り込むアラビア語はある意味で難しい作業ではない。
書体の型があるにしてもなかなか面白い芸術性のある独自の書がある。
下の写真の書体はアラビア語が彫り込まれているのが分かると思うけど・・・・
この上の写真の赤い線の部分は簡単にわかると思う。繰り返し同じ文字で
コーランの「アラー・・・」がある。正直言って読めない(^^)
日本語の書体も明朝をはじめ江戸文字、相撲文字、寄席文字など古典的な書体は
各種ある。日本語の場合は文字で遊ぶ要素が多かったのではないだろうか??
アラビア語の場合はイスラム教の普及のためにコーランを文字で伝える必要があり、
文字を美しくアッラー(神)の言葉として民衆に広める目的が大きかった。
イスラム教が広まると共にコーランも伝えられた。時代と共にマグレブ地方も
独自の書体が生まれた。そのマグレブ式装飾文字は日本でも一時期あった丸文字に
近い書体だ。マグレブで独自に進化して、芸術的な装飾書体で実にかわいらしい
書き方だ。しかし書物としてはよかったが、建築装飾としては実現しなかった。
建築装飾書体は丸文字ではないが、モロッコの宗教建築の文字デザインとして
中東のイスラム建築とは違う独特の文字が表現された。例えば、シリアのアレッポに
あるウマイヤドモスクのミナレットに刻まれたアラビア語はクーファ体(?)だ。
このクーファ体は建築装飾として中東全体でも使っているくらいポピュラーな書体だ。
下の写真はラバトにあるウダイヤ門。この門にも装飾書体がある。矢印で示している
門の両側に縦方向に長々と刻み込まれている。
モロッコの場合は建築材料として漆喰に彫り込まれることが多いが、ウダイア門の
ように石もある。この他タイルもある。しかしペイントの装飾は少ない。
劣化を考えた場合、この手法がより良い方法だったのではないだろうか!
コーラン学校では板の上に先生がコーランを書いて、それを生徒たちがみんなで読む。
その書体はナスヒー体に近いものが多い。板の上にインクで書くためにすり減って
しまう。文字がかすれたらその上からまた先生が重ね書きしている。ペイント装飾に
しないのはこのような理由もあったと思われる。
装飾文字、アラビア語は分からなくても面白いものが見えてくるかも!